今日は、BtoBマーケティングにおけるライフサイクルステージの重要性と、それを基盤としたマーケティングと営業の連携方法について探ります。さらに、アカウントベースドマーケティングの考え方や、期待収益を活用した戦略立案まで、幅広く実践的な内容をカバーします。
ライフサイクルステージは、コンタクトに紐付いた概念です。これは、顧客との関係性の進展を段階的に表現したものであり、マーケティング部門が顧客のステージを管理するための重要なツールです。
ハブスポットのCRMシステムでは、コンタクトオブジェクトから直接ライフサイクルステージの設定を確認できます。この機能により、マーケターは顧客の状態を可視化し、適切なアプローチを選択できるようになります。また、会社のライフサイクルステージとコンタクトのステージを同期させることが重要であり、会社の業種や特性に応じたカスタマイズも可能です。
ライフサイクルステージの背景には、BtoBマーケティングの歴史的な変遷があります。約10年前までは、マーケティング部門と営業部門が個別に活動し、連携が不十分でした。このそれぞれがバラバラに動いた結果、マーケティング部門はリードをたくさん獲得しているのに、営業からリードをもっとほしいといわれたり、営業はマーケティングからもらったリードを無視したり、リードの不一致により企業の活動が非効率になる企業が多く現れました。
そんな中、アカウントベースドマーケティングの概念が登場したことで企業が効率的に売上をあげるためにそれぞれの動きを統制しようとする動きがでてきました。
重要な見込み顧客を定め、アプローチすべきターゲットをマーケティングと営業でコミュニケーションしながら動く必要のあるアカウントべーすベースドマーケティングは、両部門の協力が不可欠となりました。
アカウントベースドマーケティングは、従来のマーケティングアプローチを逆転させた考え方です。この手法では、まずアプローチすべき有望な企業を特定し、その企業に属する人々に対してマーケティング活動を展開します。
この概念は、よく言われる「マーケティングファネルを逆にする」という考え方に近いものです。従来の認知→興味→行動というトップダウンのアプローチではなく、まず取引したい企業を定め、そこからアカウントに対する認知を広げていくというボトムアップのアプローチを取ります。
このアプローチを理解することで、マーケターと営業部門それぞれの役割が明確になります。営業部門は従来通り売上を追求しますが、マーケターは営業部門と連携して、売上に貢献する有効なアカウントを定義し、そこからリードを獲得していく必要があります。
アカウントベースドマーケティングを実践する上で、マーケティングと営業の連携には幾つかの課題があります。
これらの課題を解決するためには、両部門間で綿密なコミュニケーションを取り、定義や目標を明確にする必要があります。
ライフサイクルステージを設定するには、HubSpotのワークフロー機能を活用するのが最も効果的です。まず、HubSpotの設定画面にアクセスし、ワークフローを選択します。次に、新しいワークフローを作成し、ライフサイクルステージの自動更新を設定します。このプロセスでは、特定の条件が満たされたときにステージが自動的に進むように定義します。例えば、特定のアクションが完了した際に次のステージに進むよう設定することで、手動での更新作業を減らし、効率的な管理が可能になります。
ライフサイクルステージを更新する方法は主に3つあります。まず、ワークフローを使用する方法です。ワークフローを設定することで、特定の条件が満たされたときに自動的にライフサイクルステージが更新されます。次に、インポート機能を使用する方法です。外部データをインポートし、ライフサイクルステージを一括で更新することができます。最後に、手動での更新方法もありますが、効率を考えるとワークフローの使用が最も推奨されます。
ライフサイクルステージは、マーケティングがユーザーに対するステージ管理を行うための概念です。これを効果的に活用するためには、以下の点に注意が必要です。ユーザーの各段階における重要性を理解し、購読者からリード、さらには営業アプローチに至るまでのユーザーのライフサイクルを適切に管理することが求められます。
ライフサイクルステージを用いることで、マーケティング部門と営業部門の連携が強化されます。マーケティング部門は、ライフサイクルステージに基づいて適切なコンテンツを提供し、リードを育成します。一方、営業部門は、ライフサイクルステージに基づいて適切なアプローチを取ることができます。例えば、リードがMQLからSQLに進んだ際には、営業部門が即座にアクションを取ることで、商談の成功率を高めることができます。このように、ライフサイクルステージを活用することで、両部門の連携がスムーズになり、全体の効率が向上します。
ライフサイクルステージを用いたリードの管理は、営業部門の効率化に大いに役立ちます。リードのステージをトラッキングすることで、各リードが現在どのステージにいるのかを把握し、適切なアプローチを取ることができます。例えば、リードがまだMQLの段階にある場合は、マーケティング部門が引き続きナーチャリングを行い、SQLに進んだ際には営業部門が商談を開始するという流れがスムーズに実現できます。これにより、リードの管理が効率化され、営業活動の効果が最大化されます。
B2Bマーケティングでは、よく新規リードの枯渇という観点でよく議論されがちです。しかし、新規リードのみ追い続けることは精神的にもプレッシャーがかかり、また、企業運営観点でも獲得効率はよくありません。近年、海外ではリスティングなどのデジタル広告の枠単価が高すぎて、新規リードよりもナーチャリングやChurn阻止のほうが重視される傾向にもなってきています。
B2Bのマーケティングをより健全に伸ばしていくためには、新規SQLの定義とKPIの設定がより重要になってきます。新規リードではなく、新規SQLとすることで、過去リードの掘り起こしに対してもリソースをさけるようになります。
新規SQLを増やすには、主に2つの方法があります。
重要なのは、マーケターもSQLを追跡し、セールスもSQLの定義を正しく理解することです。そして、両部門がコミュニケーションを密に取ることが、アカウントベースドマーケティングの成功には不可欠です。
ライフサイクルステージを超えて、さらに効果的なBtoBマーケティングを実現するためには、期待収益の概念を活用することが有効です。
期待収益とは、ある商談から期待される将来の売上高を、成約確度とサービスの売上を掛け合わせて算出するものです。この指標を活用することで、マーケティングと営業の両部門が同じ土台で議論を行うことができます。
期待収益を活用する利点:
マーケターは、商談開始の5〜6ヶ月前からリード獲得の計画を立てる必要があります。そのためには、将来の期待収益を事前に算出しておくことが不可欠です。
BtoBマーケティングにおいて、ライフサイクルステージは顧客との関係性を管理する重要なツールです。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、マーケティングと営業の緊密な連携が不可欠です。
両部門間でMQLやSQLの定義を明確にし、ライフサイクルステージを適切に活用することで、効果的なアカウントベースドマーケティングを実現できます。さらに、期待収益の概念を導入することで、より精緻な戦略立案と部門間の協力が可能になります。
ライフサイクルステージの活用から始め、徐々に期待収益の概念を取り入れていくことで、より効果的なBtoBマーケティングを実現できるでしょう。これらの概念を正しく理解し、実践することで、マーケティングと営業の連携を強化し、ビジネスの成長を加速させることができます。