近年、メールの効果が下がり、よりチャットに対してコミュニケーションを行いたい企業様が増加してきました。その中でも、電話番号がわかれば配信できるSMS(ショートメッセージ)をHubspotから配信できないかと問い合わせをいただき、カスタムワークフローで実装いたしました。
この記事ではSMS機能について紹介しています。
HubSpotは常に顧客とのコミュニケーション手段の拡大を目指してきました。これまでメールやソーシャルメディアを中心としたデジタルマーケティングツールを提供してきましたが、より即時性の高いコミュニケーション手段としてSMS機能の必要性が高まっていました。
Hubspot 標準機能では、SMSをワークフローで配信するアクションはありませんでした。そこで、弊社のカスタムワークフローでSMS配信機能をリリースしました。
SMSとは、Short Message Serviceの略で、携帯電話やスマートフォンを使用して短いテキストメッセージを送受信するサービスです。160文字以内(日本語の場合は70文字程度)のテキストを即時に送信できる特徴があります。
SMSマーケティングの主な効果:
これらの効果により、SMSは顧客エンゲージメントを高め、ビジネスの成長を促進する強力なツールとなっています。
カスタムワークフロー全体像
カスタムワークフローはHubspotのワークフローをトリガーとして、カスタムワークフローアプリに情報を経由してSMSを配信する仕組みです。
SMSの配信履歴を管理しながら、配信された内容などをコンタクトのタイムラインにも登録することができます。
SMS配信を行うには、HubSpotのカスタムワークフロー機能のビジネスプランの契約が必要となります。詳細はサイトをご確認ください。
SMS機能を利用するためには、まずカスタムワークフローアプリにログインし、管理画面での初期設定が必要です。設定は外部連携のセクションから行います。
ここでは、SMSサービスプロバイダーであるCPassNowのAPIトークンを設定します。CPassNowの利用には別途申し込みが必要となるため、ご利用の際はフォームから申込みいただけますと幸いです。
SMS配信には1通あたりの料金が発生します。この料金は時期によって変動する可能性があるため、定期的にCPassNowのサイトで最新の料金を確認することが重要です。大規模なキャンペーンを計画する際は、事前に予算計画を立てる必要があります。
ワークフローの作成画面で、新しいアクションを開き、カスタムワークフローのビジネスを選択するとSMS配信アクションが表示されます。
SMSアクションの設定では、送信先の電話番号とメッセージ内容を指定します。電話番号はハイフンなしで入力する必要があります。メッセージは300文字以内に制限されており、超過する場合は自動的に切り取られます。そのため、重要な情報が途中で切れないよう、メッセージの構成には注意が必要です。
300文字という制限があるため、URLを含める場合は短縮URLの使用を推奨します。これにより、限られた文字数でより多くの情報を伝えることができます。また、トラッキング用のパラメータを付加したURLを使用することで、SMSキャンペーンの効果測定も可能になります。
SMSはチャット画面であり、LINE同様より近い間がらで利用されることも多い機能です。
そのため大量の文章には適しておらず、また、配信についても文字数に対して従量課金対象となっているため、今回の開発では文字数を制限させてもらっています。
カスタムワークフローのSMS機能は、1分間に約6000件の配信が可能です。しかし、大規模なキャンペーンで一度に数万件のメッセージを送信しようとすると、システムに負荷がかかり、配信の遅延や失敗が発生する可能性があります。
大量配信時の問題を回避するため、配信を分散させる戦略が効果的です。具体的には、配信対象のリストを複数のセグメントに分け、それぞれに時間差を設けて配信を行います。例えば、1万件のリストを6つのセグメントに分割し、各セグメントの配信開始時間に1分から4分程度の間隔を設けることで、システムの負荷を分散させることができます。
配信の分散化を実現するには、ワークフローの複製と遅延設定が有効です。まず、基本となるワークフローを作成し、それを必要な数だけ複製します。各複製されたワークフローに対して、異なる遅延時間を設定します。これにより、同じリストに対して時間差を付けた配信が可能になります。
大規模なSMSキャンペーンを実施する際は、常にリスクヘッジを意識することが重要です。配信の分散化は手間がかかりますが、配信失敗のリスクを大幅に低減し、キャンペーンの成功確率を高めます。また、テスト配信を行い、小規模な配信で問題がないことを確認してから本番の大規模配信に移行することも推奨されます。
SMS配信の結果は、HubSpotのコンタクトのエンゲージメントタイムラインで確認できます。成功した配信は、最新のアクティビティとしてタイムラインに表示されます。これにより、個々の顧客とのコミュニケーション履歴を一目で把握することができます。
配信に失敗した場合、そのメッセージはエンゲージメントタイムラインには記録されません。このため、配信の成功率を正確に把握するためには、送信したメッセージ数と実際にタイムラインに記録された数を比較する必要があります。
配信結果の詳細な分析には、HubSpotのリスト機能を活用します。エンゲージメントの種類でフィルタリングすることで、SMS配信に関連するアクティビティを抽出し、キャンペーンの効果を評価することができます。
配信結果のデータを詳細に分析することで、SMS戦略の最適化が可能になります。例えば、開封率の高い時間帯や、反応の良かったメッセージの特徴を特定し、今後のキャンペーンに活かすことができます。また、配信に失敗した電話番号のリストを作成し、データクリーニングに役立てることもできます。
イベントリマインダー: セミナーや商品発売イベントの前日や当日に、参加者にリマインダーを送信することで、出席率を向上させることができます。日時や場所、必要な準備物などの重要情報を簡潔に伝えることができます。
限定オファーの告知: 期間限定のセールやプロモーションを告知する際、SMSは即時性が高く効果的です。「今日限り」や「残り3時間」といった緊急性を伝えるメッセージと共に、専用の短縮URLを送ることで、素早い行動を促すことができます。
カスタマーサポート: 製品の発送通知や配達完了の連絡、予約の確認など、カスタマーサポートの一環としてSMSを活用できます。また、サポートチケットのステータス更新や、重要な問い合わせへの回答準備が完了した際の通知にも利用可能です。
フィードバックの収集: 商品購入後や、サービス利用後に、簡単なフィードバックを求めるSMSを送信することで、顧客満足度調査を効率的に行うことができます。短い質問と共に回答用のリンクを送り、即座に反応を得ることが可能です。
将来的には、SMS機能とAI技術の統合が進むと予想されます。機械学習アルゴリズムを用いて、個々の顧客に最適なメッセージ内容やタイミングを自動で決定し、さらにパーソナライズされたコミュニケーションが可能になるでしょう。
現在のSMS機能は主にテキストベースですが、将来的にはMMS(マルチメディアメッセージングサービス)との統合が期待されます。画像や短い動画を含めたメッセージング機能が加わることで、より豊かな表現が可能になります。
SMS機能の発展に伴い、顧客のプライバシー保護がより重要になります。個人情報の取り扱いに関する規制が強化される中、SMSマーケティングにおいても、データの収集、使用、保管に関する厳格なガイドラインの策定が必要になると考えています。
細かい開発改善としては、①大量配信時のリカバリー、②電話番号のハイフン自動削除アクション、③URL短縮アクションなど開発予定です。