アンドレ氏は、経過を振り返りながらMiroの成長の経緯を語りました。Miroは、2011年に「白板をブラウザ内に広げる」という簡単な発想から始まり、
それから年月をかけて、ビジュアルコラボレーションツールへと進化していきました。今日では、8,000万人以上がMiroを利用し、20万社以上の企業が商業からマーケティング、あるいはフィランソロピーに至るまで、構想のイノベーションを続けています。
Miroは創業当初、「リアルタイムボード」としてスタートし、ユーザーがインターネットを通じてリアルタイムにアイデアを共有できるプラットフォームを提供していました。
やがて、単なる「ホワイトボード」以上の存在として進化し、様々な業界でのビジュアルコラボレーションを可能にしました。
企業がアイデアを生み出し、実現していくプロセスを支援するためのツールセットを提供し、世界中の知識労働者がその可能性を最大限に引き出すための「無限キャンバス」として成長を遂げてきました。
新しい「イノベーションワークスペース」の登場により、Miroはチームがブレーンストーミングやアイデアの生成から定義、デリバリーまでをシームレスにサポートすることが可能となりました。
この新しいプラットフォームは、アイデアの生成からプロトタイプの設計まで、非常に迅速に実行し、カスタマイズの柔軟性を提供します。
特に、新たに導入されたAI機能が重要な役割を果たしており、例えばアイデアの整理やプロジェクトの次のステップへの移行を迅速化し、チームがより効率的にコラボレーションできるよう支援しています。
AIを活用して、ブレインストーミングの内容を自動的に要約したり、プロトタイプの初期設計を自動生成したりすることで、時間の大幅な節約が可能となりました。これにより、従来では数日かかっていたプロセスが、わずか数分で完了することもあります。
さらに、MiroはAIを活用してチーム間のシームレスなコミュニケーションを促進し、
リアルタイムでのインタラクティブな協力を実現しています。具体的には、ユーザーはプロジェクトの進行状況を共有し、その場でフィードバックを得ることができ、チーム全体が常に最新の情報を共有しながら作業を進めることができます。このようにして、プロジェクト全体の効率性と透明性が向上します。
GEエアロスペースとMiroの使用例
事例として、GEエアロスペースの「AI部門シニアディレクター」であるサマ・クール氏が登壇し、
どのようにMiroを使って技術的な課題を解決しているかが紹介されました。
GEエアロスペースは、複雑な航空エンジンの設計と開発において、Miroを活用して多くの関係者との効率的なコミュニケーションを実現しています。
サマ氏は、エンジニアや規制当局、品質管理担当者など、さまざまなステークホルダーからのインサイトを集め、
Miro上で視覚的に整理することで、問題の全体像を明らかにし、解決すべき優先順位を明確にしていると述べました。
このような「仮想ウォールルーム」を通じて、GEは過去に蓄積された知見を共有し、効果的に学び、全社的なイノベーションを促進しています。また、Miroを使うことで、GE内の他の部門も迅速に学習し、同様のアプローチを採用することができるようになりました。
AIとプロトタイピングの向上
新たに導入されたAIによる「プロトタイピング」機能も注目されています。Miro上でのプロトタイピングは、プロダクトマネージャーやデザイナーが初期の設計プロセスを迅速に進めるための重要なツールとなります。
AIを活用して、ブレインストーミングから得られたアイデアを基にプロトタイプを数分で生成できるため、カスタマーのフィードバックをリアルタイムで受け取りながら、迅速に改善を重ねることができます。
プロトタイピングはMiroのキャンバス上で行われ、すべてのメンバーが編集・フィードバックを提供できます。これにより、デザインの初期段階からエンジニアリング、プロダクトマネジメント、マーケティングなど、異なる部門の専門家たちが協力してプロトタイプを構築し、それぞれの視点を取り入れることが可能です。また、AIはデザインの調整をサポートするだけでなく、複数の選択肢を提示し、それらを比較しながら最適な方向性を決定する手助けもします。
Miroのワークフロー改善とカスタマイズ性
Miroの新しい機能は、単なるツールの集まりではなく、ワークフロー全体を改善するための包括的なアプローチを提供します。「イノベーションワークスペース」は、
すべての作業が同じキャンバス上でシームレスに行える環境を整え、ブレインストーミングから意思決定、さらにその先のデリバリーに至るまで、一貫した流れをサポートします。
さらに、リアルタイムのビデオ通話機能や、ドキュメント作成、タスクの進行状況管理などの新機能により、ユーザーは他のアプリケーションに切り替えることなく、必要な作業をMiro内で完結できます。
さらに、カスタマイズ可能なテンプレートやウィジェットを使うことで、各チームのニーズに応じた最適なワークフローを構築することができます。
企業は独自のテンプレートを作成し、それを全社的に展開することで、業務プロセスを標準化しながらも柔軟に対応することが可能です。
例えば、異なるプロジェクトのニーズに合わせてテンプレートを微調整し、特定の業務フローに沿ったプロセスを迅速に開始できます。これにより、プロジェクトの立ち上げから完了までの時間が短縮され、全体的な生産性が向上します。
また、ウィジェットのカスタマイズによって、チームメンバーがより使いやすいインターフェースを提供することが可能です。
たとえば、タスクの進行状況をリアルタイムで追跡するカスタムウィジェットを追加することで、個々のタスクの進捗状況が一目で把握でき、必要に応じてリソースの再割り当てやタスクの優先順位付けを行うことができます。
これにより、プロジェクトマネジメントの効率が向上し、チーム全体の連携が強化されます。
さらに、Miroは外部ツールとの統合も強化しており、ユーザーが日々使用する他のアプリケーション（例えばJiraやSlack、Google Workspaceなど）とシームレスに連携することが可能です。
これにより、ユーザーはMiroのキャンバス上でこれらのツールを活用しながら、タスクの進捗管理やコミュニケーションを行うことができます。例えば、Jiraとの統合により、タスクの作成や更新をMiro内から直接行い、Jira上のデータとも同期することが可能です。
これにより、複数のプラットフォームを行き来する必要がなくなり、チームの効率性が向上します。
また、AIを活用した自動化機能もワークフロー改善の大きな要素となっています。AIはプロジェクトの進行状況を分析し、ボトルネックを特定したり、次に取るべきアクションを提案したりします。
このようなAIの支援により、プロジェクトマネージャーはより戦略的な意思決定に集中でき、日々のタスク管理の負担を軽減することができます。
さらに、Miroの「スペース」機能を活用することで、関連するプロジェクトやドキュメントを一元管理できるようになります。
各プロジェクトに関する資料や進行中のタスク、関連するプロトタイプなどを一つの「スペース」にまとめることで、チーム全体がいつでも必要な情報にアクセスしやすくなり、コミュニケーションの効率化が図れます。このようにMiroは、ユーザーが求める柔軟性と統合性を兼ね備えたプラットフォームを提供し、ワークフロー全体を改善しています。
Miroは、エンタープライズレベルのセキュリティと柔軟性を提供するために、最新のセキュリティ機能を導入しています。企業のデータを保護しながら、チームが自由にコラボレーションできる環境を提供するため、組織全体のポリシーに基づいたアクセス制御やデータ保護機能を備えています。また、特定のプロジェクトやボードに対してより厳格なセキュリティ設定を施すことも可能で、機密情報の取り扱いに適した環境を提供しています。
このような多層的なセキュリティ設定により、企業は安心してMiroを使って重要なプロジェクトに取り組むことができ、全社的な生産性向上を図ることができます。
このCanvas 24のイベントは、単なるツールの紹介にとどまらず、現代の仕事の新しいスタンダードを示し、技術の進歩と新しいコラボレーションツールの可能性を探るものでした。Miroは、チームが次の大きな発見や成果を生み出すための理想的な環境を提供することを目指しており、そのためのプラットフォームとして「イノベーションワークスペース」を提案しました。
Miroは、企業が直面するさまざまな課題に対応し、チームの創造力を最大限に引き出すことを目指しています。AIを駆使した新機能により、アイデアの発展から最終的なプロトタイプの実現までのプロセスが加速し、全員が参加しやすいコラボレーション環境が構築されています。このイベントで発表された新たなツールと技術は、企業が未来のビジネスにおいてさらに革新を続けるための強力なサポートとなるでしょう。
これからのMiroの進化には、さらなる期待が寄せられており、今回のCanvas 24で示されたビジョンは、コラボレーションの未来を形作る一つの指標となることでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=RfwvkjeqEhk
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