コンバージョン(Conversion:CVと略されることもあります)とは、ウェブサイトを通じて得られる「最終的な成果」のことで、ウェブマーケティング戦略において最も重要な指標の一つです。CVは、英語の「転換」「変化」といった意味合いから派生しており、ウェブサイトを訪れたユーザーが特定の行動を起こし、その行動がビジネス上の成果に「転換」することを意味します。コンバージョンは、オンラインストアでの商品購入に限らず、ウェブサイトのタイプや目的に応じて様々な形態をとります。
コンバージョン率の向上は、ウェブサイトやアプリケーションにおける「効率性」を高めることだと定義されています。具体的には、ユーザーがファネルの各ステップをスムーズに進み、最終的な目標(購入、登録、問い合わせなど)を達成するまでの過程を最適化することです。
コンバージョン率が重要視されるのは、それがビジネスの成長を左右する主要な要因の一つだからです。成長は、新規顧客の獲得(コンバージョン)と既存顧客の維持(チャーンレートの低減)のバランスによって決まります。興味深いのは、プレゼンテーションにおいて、一般的にコンバージョン率の改善よりもチャーンレートの低減の方が取り組みやすいと指摘されている点です。これは、コンバージョン率の向上には、ユーザーの心理や行動を深く理解し、より複雑な課題に取り組む必要があるためでしょう。
しかし、コンバージョン率の改善は、ビジネスの成長において非常に重要な役割を果たします。なぜなら、たとえ多くのトラフィックを集められたとしても、コンバージョン率が低ければ、そのトラフィックを有効活用できているとは言えないからです。プレゼンテーションでは、この状況を「漏れるバケツ」に例え、まずはコンバージョン率を改善し、バケツの穴を塞ぐことが重要だと説いています。
コンバージョンは、cv を測定する方法やユーザーの行動パターンによって多岐にわたる種類に分類できます。主な種類を把握することで、より詳細な分析や、効果的なマーケティング戦略の策定に役立てることができます。
総コンバージョンとは、ユーザーがコンバージョンに至った回数をカウントするものであり、cv 数としても知られています。例えば、あるオンラインショップで同一人物が2回商品を購入した場合、総コンバージョン数は2とカウントされます。それに対し、ユニークコンバージョンは、コンバージョンを達成したユーザーの数をカウントします。上記の例では、ユニークコンバージョン数は1となります。総コンバージョンはアクションの頻度を、ユニークコンバージョンは実際にコンバージョンした顧客数を把握する上で重要です。
直接コンバージョンとは、広告などをクリックしてウェブサイトにアクセスしたユーザーが、そのまま他のページに移動することなくコンバージョンを達成することを指します。一方、間接コンバージョン(またはアシストコンバージョン)とは、広告などを通じてウェブサイトを訪問したユーザーが、その時点ではコンバージョンに至らず、後日別の経路(検索エンジンなど)を通じて再度ウェブサイトを訪れ、コンバージョンを達成することを指します。間接コンバージョンを分析することで、ウェブサイト訪問後のユーザーの行動をより深く理解することができます。
クリックスルーコンバージョンとは、ユーザーが広告をクリックし、その結果Webサイトへアクセスしてコンバージョンに至ることを意味します。対照的に、ビュースルーコンバージョンは、広告を見たもののクリックは行わず、その後、別の手段でWebサイトを訪れてコンバージョンに至るケースを指します。特にビュースルーコンバージョンは、ディスプレイ広告などの効果を測る上で重要な指標となります。
コンバージョンとして定義する内容は、ホームページやWebサイトのタイプや目的によって大きく異なります。ここでは、代表的なWebサイトのタイプ別に、コンバージョンポイントの具体的な例をご紹介します。
ECサイトにおいて最も一般的なコンバージョンは、言うまでもなく商品の購入です。加えて、会員登録やメールマガジンへの登録、レビューの投稿などもコンバージョンとして設定されることがあります。比較的高価な商品の場合、購入へのハードルが高くなるため、製品に関する資料請求や問い合わせをコンバージョンとして設定することも有効な戦略です。
例:商品購入、会員登録、メルマガ登録、レビュー投稿、資料請求、お問い合わせ
BtoBサイトにおいては、潜在顧客の獲得を目的として、資料請求やお問い合わせ、セミナーへの申し込みなどがコンバージョンとして設定されることが一般的です。これらのコンバージョンは、最終的な商品の購入や契約へと繋げるための、非常に重要なプロセスとなります。
例:資料請求、お問い合わせ、セミナー申し込み、無料トライアル申し込み、見積もり依頼
情報発信を目的とするウェブサイトでは、会員登録やメールマガジンへの登録をコンバージョンとして定めることが一般的です。これは、ユーザーとの継続的な関係性を築き、長期的なコミュニケーションを可能にするためです。登録者に対して価値ある情報を提供し続けることで、サイトへの関与度を高め、最終的には収益へと繋げることを目指します。
例:会員登録、メールマガジン登録、アンケートへの回答、イベントへの参加申し込み
人材を募集するウェブサイトでは、求職者からの応募をコンバージョンと定義します。応募数を増加させるためには、魅力的な求人情報を掲載することはもちろん、応募プロセスを簡素化し、応募しやすい環境を整備することが不可欠です。
例:応募、説明会への参加申し込み、インターンシップへの応募
コンバージョン率の改善に取り組む前に、自社の現状がどの程度のレベルにあるのかを把握することは非常に重要です。プレゼンテーションでは、いくつかの業界におけるコンバージョン率のベンチマークが紹介されています。
これらの数値はあくまで目安であり、ビジネスモデルやターゲット層によって大きく変動する可能性があります。しかし、自社のコンバージョン率がこれらのベンチマークと比較して低い場合、改善の余地があると言えるでしょう。
一方で、プレゼンテーションでは、高いコンバージョン率を誇る事例も紹介されています。例えば、全盛期のFlickrは5%〜10%、出会い系サイトでは10%〜22%、子供向けSNSではさらに高い数値、そしてオンライン税務申告ソフトウェアのTurboTax Onlineに至っては70%という驚異的なコンバージョン率を記録しています。これらの事例は、適切な戦略と最適化によって、コンバージョン率を大幅に向上させることが可能であることを示唆しています。
マイクロコンバージョンとは、最終的なコンバージョンに至るまでの一連のプロセスにおける中間的な目標地点を指します。例えば、オンラインストアで商品の購入をコンバージョンとする場合、商品ページの閲覧、カートへの追加、購入手続き画面への入力などがマイクロコンバージョンに該当します。マイクロコンバージョンを適切に設定することで、ユーザーの行動パターンを詳細に分析し、ウェブサイトの改善点をより明確に把握することが可能になります。
マイクロコンバージョンを設定することで、ウェブサイトや広告の効果測定に必要なデータポイントが増加し、改善策を検討する上で有用な指標が得やすくなります。最終コンバージョンの数が少ない場合でも、マイクロコンバージョンのデータを分析することで、改善すべきボトルネックを特定し、より効果的な改善策を策定することができます。
マイクロコンバージョンを設定する際には、ユーザーが最終的なコンバージョンを達成するまでの行動プロセスを詳細に分析し、特に重要なアクションが発生する箇所に設定することが大切です。たとえば、オンラインストアであれば、「商品ページ閲覧」「ショッピングカートへの追加」「注文手続きページへのアクセス」などが考えられます。BtoBビジネスのウェブサイトであれば、「サービス紹介ページ」「技術資料のダウンロード」「料金プランの確認」「お問い合わせフォームへの入力」などが該当します。
コンバージョン率(CVR:Conversion Rate)とは、ウェブサイトへの訪問者数(または広告の表示回数)のうち、コンバージョンに至った割合を示す数値です。コンバージョン率を把握することで、ウェブサイトや広告の効果を客観的に評価することができます。
コンバージョン率 = コンバージョン数 ÷ ウェブサイト訪問者数(広告表示回数) × 100
コンバージョン率は、業界の種類やウェブサイトの目的、コンバージョンの内容によって大きく異なります。一般的には1~3%程度が平均的と言われていますが、ECサイトであれば商品の価格帯やブランドの知名度、BtoBサイトであれば提供するサービスの種類やターゲット顧客層によって大きく変動します。
コンバージョン率を向上させるためには、ユーザーがウェブサイトを訪れてからコンバージョンを完了するまでのプロセス全体を最適化し、コンバージョン数を増やすことが不可欠です。具体的には、ターゲットキーワードの再検討、ウェブサイト内のナビゲーション改善、ボタンやバナーのデザイン最適化、入力フォームの使いやすさ改善などが考えられます。
広告運用やSEO対策では、見込み顧客が実際に検索する語句を選ぶことが不可欠です。コンバージョン率が伸び悩む場合、ウェブサイトへの訪問者と想定する顧客層にずれが生じている可能性があります。キーワードを見直し、広告文やコンテンツを磨き上げることで、コンバージョン率の改善が期待できます。
ウェブサイトの動線は、ユーザーが求める情報へ容易にたどり着け、最終的なコンバージョンに繋がりやすいように構築することが重要です。不要な情報を整理したり、コンバージョンに至るまでの経路を明確にすることで、ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン率の向上に貢献します。
ボタンやバナーのデザインは、ユーザーのクリックを促すように最適化する必要があります。目に留まりやすい色使いや形状、理解しやすい文言を使用し、周囲の要素との配置バランスにも注意を払うことで、クリック率を高め、コンバージョンへと繋げられます。
入力フォームは、コンバージョンに直接影響を与える要素です。入力項目を必要最小限に絞り込み、入力しやすいデザインにするなど、ユーザーへの負担を減らすことで、コンバージョン率の向上が見込めます。
コンバージョン数を伸ばすには、顧客の要望を把握し、各段階に応じた情報提供をわかりやすく行うことが不可欠です。購入意欲が高い見込み客には、製品の詳細な情報や購入を後押しするコンテンツを提供し、情報収集段階の見込み客には、有益な情報や事例を提供することで、興味や関心を深めることが重要となります。
MA(マーケティングオートメーション)ツールは、マーケティング活動を自動化し、効率性を高めるためのツールです。顧客の行動履歴に基づき、最適なタイミングで情報を提供したり、個々の顧客に合わせたメッセージを配信することで、コンバージョン率の向上に貢献します。
特にBtoB企業においては、MAツールの導入は非常に有効です。潜在顧客の獲得から育成、商談機会の創出まで、一連のマーケティングプロセスを自動化することで、営業活動の効率化にもつながります。
MAツールの導入は、Webマーケティング戦略の策定、実行に課題を抱えている企業にとって、問題解決のきっかけとなる可能性があります。
Googleアナリティクスは、Webサイトのトラフィックやユーザーの行動を詳細に分析できる強力なツールです。コンバージョンを測定するためには、まずGoogleアナリティクスでコンバージョンゴールを設定します。コンバージョンゴールとは、特定のページへの到達や特定のアクション(例えば、フォームの送信や購入完了)を達成したユーザーの数を測定するための設定です。
Googleアナリティクスを活用することで、Webサイトのユーザー行動を詳細に把握し、どのページやアクションがコンバージョンに繋がっているかを明確にすることができます。
コンバージョン率最適化(CRO:Conversion Rate Optimization)は、Webサイトのコンバージョン率を向上させるための一連のプロセスです。CROの目的は、Webサイトを訪れたユーザーがコンバージョンを達成する確率を高めることにあります。
コンバージョン率の問題は、多くの場合、ユーザーインターフェースの問題として捉えることができます。プレゼンテーションでは、あらゆるUI問題を解決するための強力なフレームワークとして、インタフェースデザイナーのジャレッド・スプール氏が提唱する「知識スペクトル」が紹介されています。
知識スペクトルとは、ユーザーの知識レベルを連続的な線で表したものです。一方の端には「知識ゼロ」の状態、もう一方の端には製品やサービスに関する「全知全能」の状態が存在します。このスペクトル上で、ユーザーは現在の知識レベルを表す「現在の知識点」に位置し、インターフェース(ランディングページなど)はユーザーに到達してほしい知識レベルを表す「目標知識点」に位置します。
UIの問題とは、この「現在の知識点」と「目標知識点」の間に存在する「知識ギャップ」を埋めることに他なりません。この知識ギャップを埋める方法は2つあります。
この知識スペクトルの考え方を理解することで、コンバージョン率の低いUIが抱える根本的な課題をより深く理解し、効果的な改善策を見出すことができるようになります。
知識スペクトルの概念を具体的なUI改善に繋げるための思考実験として、プレゼンテーションでは「ワンボタンインターフェース」というアイデアが提案されています。
これは、ランディングページや製品のインターフェースを、たった一つのボタンしかない状態まで極限までシンプルにした場合、ユーザーにそのボタンを押してもらうために、一体どのような情報をボタンの周りに配置する必要があるのか?という問いを立てるものです。
この思考実験を通じて、私たちはユーザーにとって本当に必要な情報は何なのか、逆にボタンを押すのをためらわせるような不要な情報は何なのかを深く考えることができます。最小限の情報で最大の効果を得るための本質的な要素を見抜くための、非常に有効なアプローチと言えるでしょう。
プレゼンテーションでは、あらゆるUIの問題を解決し、コンバージョン率を向上させるための具体的なフレームワークとして、以下の7つの質問が提示されています。これらの質問を一つ一つ検討することで、UIの課題が明確になり、効果的な改善策を見つけることができるはずです。
最も重要な質問の一つは、「ユーザーに最も望む行動(CTA)は何か?それは明確に示されているか?」ということです。CTAボタンは目立つ場所に配置され、ユーザーが何をすべきかが一目でわかるようにデザインされている必要があります。
さらに重要なのは、CTAがユーザーにとっての「魔法の瞬間」にどれだけ近いかという点です。「魔法の瞬間」とは、ユーザーが製品やサービスの価値を理解し、興奮や期待を感じる瞬間のことです。CTAは、この魔法の瞬間を体験できる場所にできるだけ近い場所に配置されるべきです。もし、魔法の瞬間からCTAまでの距離が遠すぎると、ユーザーは途中で離脱してしまう可能性が高まります。
製品やサービスの内容を、誰にでも理解できるようにシンプルに説明できているでしょうか?プレゼンテーションでは、「母親にメールで一文を送るだけで、その内容を理解してもらえるか?」という厳しいテストが提案されています。
多くのウェブサイトは、専門用語や業界特有の言葉で溢れており、ユーザーは自分が求めているものが何なのかを理解するのに苦労しています。特に、急いで問題を解決したいと考えているユーザーにとって、ウェブサイトの内容が複雑で理解しにくい場合、すぐに離脱してしまう可能性が高いでしょう。ウェブサイト全体を通して、製品やサービスが何であるかを明確かつ簡潔に伝えることが重要です。
ユーザーは、ウェブサイトを見た瞬間に「これは自分にとって必要なものだ」と感じるでしょうか?ウェブサイトのデザインやコピーは、ターゲットユーザーのニーズや課題を反映している必要があります。ユーザーは、自分自身の状況や問題がウェブサイト上で言及されているかどうかを探しています。もし、自分との関連性を見出すことができなければ、そのウェブサイトに留まる理由はないでしょう。
ウェブサイトは、ユーザーに安心感と信頼感を与えているでしょうか?現代のインターネット上には、多くの悪質なウェブサイトが存在するため、ユーザーは常に警戒心を持っています。ウェブサイトのデザインが古臭かったり、情報が不足していたりすると、ユーザーは不信感を抱き、コンバージョンに至らない可能性が高まります。基本的なことですが、プロフェッショナルなデザイン、正確な情報、プライバシーポリシーの明示など、信頼性を高めるための対策をしっかりと行う必要があります。
多くの人は、他の人が使っている製品やサービスに対して安心感を抱きます。プレゼンテーションでは、これは「正当性」とは異なる、信頼を得るためのショートカットだと説明されています。顧客の声、レビュー、導入事例、実績などを積極的に公開することで、他のユーザーがその製品やサービスを利用して成功していることを示し、新規ユーザーの不安を軽減することができます。
価格情報は、ユーザーがコンバージョンするかどうかを決定する上で非常に重要な要素です。特にB2Bのエンタープライズ企業では、価格情報をウェブサイトに掲載することをためらう傾向がありますが、これはコンバージョン率の低下に繋がる可能性があります。
もし、製品やサービスが無料である場合や、無料トライアルを提供している場合でも、その旨を明確に伝えるべきです。また、後から追加料金が発生するような隠れたコストがある場合は、事前にしっかりと説明することで、ユーザーの不信感を防ぐことができます。透明性の高い価格設定は、コンバージョン率の向上に不可欠です。
どんなに完璧なウェブサイトや製品であっても、ユーザーは疑問や問題を抱える可能性があります。そのような時に、ユーザーがすぐに助けを求められる場所を提供することは非常に重要です。FAQ、ヘルプページ、お問い合わせフォーム、チャットサポートなど、様々なサポートチャネルを用意し、ユーザーが安心して製品やサービスを利用できる環境を整えることが大切です。もし、サポート体制が不十分だと感じられた場合、ユーザーは不安を感じ、コンバージョンをためらってしまうでしょう。
コンバージョンを高めるためのサイト構成やデザインの参考になる書籍は数多くあります。以下に、特におすすめの本をいくつかご紹介します。
これらの書籍を参考にすることで、Webサイトの構成やデザインを改善し、コンバージョン率を向上させるための具体的なアイデアを得ることができます。
コンバージョンは、Webマーケティングの成果を評価する上で極めて重要な指標です。コンバージョンの種類や設定方法、改善策を理解し、PDCAサイクルを実践することで、Webサイトの成果を最大限に引き出すことができます。常に顧客の視点を意識し、データに基づいた改善を繰り返すことが、コンバージョン率向上への最短ルートです。ぜひこの記事で得た知識を参考に、コンバージョン最適化に挑戦してみてください。
回答:コンバージョン率が低い状況を打開するには、まず原因の究明が不可欠です。ウェブ解析ツールなどを駆使して、ユーザーの動きを詳細に分析しましょう。特に、サイトからの離脱が多いページや、コンバージョンに至らなかったユーザーの行動に着目することで、具体的な改善点が見えてくるはずです。
回答:マイクロコンバージョンの適切な設定数は、ウェブサイトの目的や規模によって変動します。しかし、設定数が多すぎると管理が煩雑になるため、最終的なコンバージョンとの関連性が高く、かつ測定可能な範囲で設定することが推奨されます。
回答:コンバージョン率の平均値は、業界やウェブサイトのタイプ、設定されているコンバージョンの内容によって大きく異なります。一般的には1~3%程度が一つの目安とされていますが、これはあくまで参考値として捉え、自社のウェブサイトの現状を踏まえた上で目標を設定することが大切です。