MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動や営業活動における成果を向上させるために、業務プロセスを効率化したり、自動化したりする仕組みのことです。そして、この仕組みを実現するためのソフトウェアがMAツール(マーケティングオートメーションツール)と呼ばれます。MAツールは、顧客開拓におけるマーケティング活動を見える化し、自動化することによって、見込み顧客(リード)を適切に管理します。さらに、顧客のニーズに合わせた情報や特典などを、最適な方法で自動的に配信することで、見込み顧客との関係性を深め、購買意欲を高める効果が期待できます。
MAツールへの関心は、近年ますます高まっています。その背景には、顧客との接点(チャネル)の増加、顧客の購買行動(バイヤージャーニー)の変化、そして、ログデータ分析の重要性の高まりがあります。インターネットやスマートフォンの普及により、消費者が情報を得る経路は複雑化し、オンライン上での顧客接点は多岐にわたっています。多くの消費者は、商品やサービスを購入する前に自分で情報を集める傾向があり、価格だけでなく、購入に至るまでのプロセスにおける体験を重視するようになっています。さらに、オンライン上での見込み顧客の行動履歴(ログデータ)の重要性が増しており、顧客一人ひとりに最適な情報を、最適なタイミングで提供するためのシナリオ設計において、正確なデータ収集が不可欠となっています。MAツールを活用することで、顧客のウェブサイトへのアクセス状況や資料のダウンロード履歴、ページの閲覧状況など、詳細なデータを収集し、分析することが可能です。手作業では困難な大量のデータを自動で処理できるため、より精度の高いログデータ分析が実現します。
MAツールの市場規模は、年々拡大を続けており、今後も成長が期待されています。消費者の購買行動がデジタルへと移行する中で、MAツールは、営業活動を効果的に支援するツールとして、その重要性を増しています。顧客一人ひとりに合わせた情報提供による質の高い顧客体験が求められる時代において、近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も、MAツール市場の成長を後押ししています。国内企業におけるMAツールの導入率は、2017年の7%から2021年には17%へと増加しており、導入企業の7割以上が「MAツールの導入効果を実感している」と回答しています。今後、ビジネスのデジタル化がさらに進むにつれて、MAツールを導入する企業はますます増えていくと予想されます。
MAツールは、潜在顧客の興味や関心、行動に合わせて、「最適なコンテンツ」を「最適なタイミング」で「最適なチャネル」を通じて提供することで、マーケティング活動を効率化し、自動化するために開発されました。近年、BtoBマーケティングにおいては、「デマンドジェネレーション」という考え方が重要視されており、MAツールはこのデマンドジェネレーションを支援する役割を担っています。デマンドジェネレーションは、見込み顧客を獲得する「リードジェネレーション」、獲得した見込み顧客を育成する「リードナーチャリング」、そして、見込み顧客を選別する「リードクオリフィケーション」という3つのプロセスで構成されています。MAツールの主な活用領域は、「見込み顧客の獲得から商談の創出まで」、つまり営業部門へ有望なリードを渡すまでのプロセスです。このプロセスを最適化することで、受注確度を高めることが期待できるため、MAツールは多くの企業から注目を集めています。
リードジェネレーションとは、見込み顧客(リード)を「獲得する」ための活動のことです。具体的には、「ウェブサイトへの訪問者に対して、問い合わせや資料請求といったアクションを促すこと」や、「展示会やセミナーなどで来場者と名刺交換を行うこと」を通じて、見込み顧客の情報を収集することを指します。インターネットの普及により、顧客は自ら必要な情報を検索して入手するようになり、企業と顧客との接点(ウェブサイト、SNS、メール、ウェブ広告など)も多様化しています。そのため、企業はそれぞれの顧客接点に合わせて、様々なリード獲得施策を展開する必要に迫られています。
見込み客獲得のための戦略と手法としては、主に以下の5つが考えられます。
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値があり、有益な情報を提供する記事コンテンツを制作し、配信することで、個人情報の提供を促す戦略です。例えば、役立つ情報を提供するハウツー記事や事例紹介、専門的な知識やノウハウをまとめたホワイトペーパーのダウンロードなどがコンテンツマーケティングに含まれます。
Web広告は、インターネット上の広告枠に自社の製品やサービスの広告を掲載・配信できる手法です。Web広告には、主にリスティング広告、ディスプレイ広告、リターゲティング広告、純広告、動画広告・YouTube広告、SNS広告など、多様な種類が存在します。質の高いコンテンツマーケティングが実現できていれば、Web広告を通じて、より多くの質の高い見込み客獲得が期待できます。
展示会やイベントは、自社の製品やサービスに関する情報を幅広く発信し、認知度向上のきっかけとなります。展示会では、名刺交換を通じて顧客情報を収集できるだけでなく、対話を通じて関係性を構築することも可能です。
セミナーは、自社が主催するものと他社が主催するものがあります。どちらの形式でも、自社の製品や知識に関心を持つ見込み客が集まるため、質の高いリード獲得に繋がる有効な手段です。特に、オンラインセミナー(ウェビナー)の場合、参加申し込みの段階でリード情報を獲得できるため、MAツールとの連携が効果的です。これにより、セミナー参加者、申し込みのみで不参加者といった顧客層を自動的に分類し、それぞれに適したメール配信を行うことが可能になります。
オフライン広告とは、インターネットを使用しない広告媒体のことで、交通広告、テレビCM、新聞、ラジオ、雑誌などが該当します。広範囲な層への情報伝達が可能ですが、効果測定が困難な点が課題です。ターゲット層との適合性を慎重に検討し、可能な限り効果測定が容易なデジタル媒体との併用を検討することが重要です。
リードジェネレーションにおけるMAツールの活用例として、上記のような施策と並行して、LP(ランディングページ)やフォーム作成機能を活用し、ユーザーがアクションを起こしやすい動線設計、過去にウェブサイトを訪問したユーザーへのリターゲティング広告やプッシュ通知による再訪問促進などが挙げられます。さらに、SNSとの連携によって認知度を高め、自社サイトへの流入を増加させる効果も期待できます。例えば、IPアドレス分析による企業特定機能は、その後の営業活動において貴重な情報源となります。
リードナーチャリングとは、獲得した見込み客を「育成する」、つまり購買意欲を高めるための施策です。見込み客との継続的な関係性を構築し育成することで、最適なタイミングでのアプローチが可能になります。一般的に、すぐに案件化する見込み客は全体のわずか10%程度と言われており、リードナーチャリングの取り組みが、その後の成果を大きく左右することがわかります。
具体的に、潜在顧客を育成するにはどのような方法があるのでしょうか?以下にその具体的なステップをご紹介します。
まず最初に、潜在顧客(リード)リストを構築します。このリストから、競合企業や提携企業など、ターゲットから外れる企業を除外します。顧客情報が重複している場合もあるため、名寄せや絞り込みを行い、リストを整理することで、その後のマーケティング活動を効率的に進めることができます。
作成したリードリストを基に、顧客をいくつかのグループに分類します。分類方法は様々ですが、企業の潜在的な価値を示す「ポテンシャル」と、顧客の検討段階や関心度を示す「ステータス」という2つの軸で顧客を分類することが有効です。この方法を用いることで、自社にとって特に価値の高い優良顧客となりうる企業を選定し、集中的なマーケティングを行うABM(アカウントベースドマーケティング)という戦略が有効になります。
顧客をセグメントに分類した後、各段階の顧客に対してどのような施策やアプローチを行うかを決定します。具体的な施策としては、メールマーケティング、セミナーの開催、製品資料や導入事例(ホワイトペーパー)の提供などが挙げられます。これらの施策を通じて、ターゲット顧客のニーズに合致した、価値のある情報を提供していくことが重要です。
MAツールは、ウェブサイトにおける顧客の行動を詳細に追跡できるため、訪問ページ、滞在時間、コンテンツの読了率などから、顧客がどのような情報に関心を持っているかを把握できます。この情報を活用することで、見込み顧客の属性やニーズ(業種、職種、興味のあるコンテンツなど)に応じた、よりパーソナライズされたメールマーケティングを展開することが可能です。送信したメールの開封状況やリンクのクリック状況、行動履歴の管理も行えます。さらに、見込み顧客の行動履歴に応じて、リターゲティング広告を表示してウェブサイトへの再訪問を促したり、最適なタイミングでセミナーの案内を送ることも可能です。
また、シナリオに基づいたステップメールを活用することで、見込み顧客の行動に合わせた育成プロセスを構築できるのもメリットです。例えば、展示会やセミナーのお礼メールをMAツールで事前に設定しておけば、参加者に対して自動的にメールが送信されます。メール内のリンクがクリックされたかどうかでシナリオを分岐させ、資料のダウンロードの有無や料金ページへのアクセス状況など、ユーザーの行動に基づいてさらに分岐を繰り返し、最終的に設定されたアクションが実行されます。
このような効果的なリードナーチャリングは、中長期的な視点に立ち、顧客の属性や確度を正確に把握することが不可欠です。MAツールを活用して顧客情報を一元的に管理することで、精度の高いリードナーチャリングが実現できます。
リードクオリフィケーションとは、ナーチャリングによって育成された見込み顧客の中から、特に受注の可能性が高いリードを選び出すプロセスです。見込み顧客の購買意欲を「見える化」するために、自社サイトへのアクセス数、メールマガジンの開封率、資料ダウンロード履歴、セミナーへの参加状況などの項目ごとにスコアリングを行い、顧客を段階的に分類します。
これにより、アプローチすることで高い成果が期待できる「ホットリード」のリストを作成し、営業部門に引き渡すことが可能になり、効率的な営業活動が実現します。中には、SFA(営業支援システム)との連携機能を搭載したツールもあり、既存の顧客情報と統合することで、より円滑なコミュニケーションをサポートします。
リードクオリフィケーションにおいて、MAツールは有望な見込み顧客のリスト作成を支援します。購入意欲や関心の度合いをスコアリングによって可視化できます。例えば、「機能ページや価格ページを複数回閲覧している」場合に特定の点数を付与するなど、数値化することで、受注確度を客観的に判断することが可能になります。
アプローチ後に受注に至らなかったリードに対して、再度興味を喚起するためのマーケティング活動、いわゆる「リサイクル」を行うことも重要なフェーズです。すぐに商談に繋がらない場合でも、継続的に適切なナーチャリングを実施していくことが重要です。
マーケティングオートメーション(MA)を導入し、活用することによって得られるメリットと、注意すべきデメリットについてご紹介します。
MAツールを導入することで得られる利点について、主要な5つのポイントに焦点を当てて解説します。
MAツールを使用すると、特定の条件に合致する顧客リストの作成、メール配信、営業担当者への割り当て、見込み客の絞り込みといった、マーケティング担当者が抱える煩雑な作業を大幅に削減し、効率的なマーケティング活動を実現できます。これにより、施策改善に注力する余裕が生まれ、収益向上に貢献します。現代においては、「マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用してこそ、本来のマーケティング業務を遂行できる」と言っても過言ではありません。
インターネットの普及と購買行動の多様化に伴い、現代の「マーケティング業務」は非常に広範囲に及んでいます。メール配信、LP・フォーム作成ツール、そして施策ごとの管理を一元化することで、効果検証・分析・改善を円滑に進めることができるようになります。
新規顧客の獲得は、予算や問い合わせからのコンバージョン率の限界など、どこかの時点で成長が鈍化する可能性があります。このような状況において、MAツールによるリードナーチャリングが重要な役割を果たします。適切なリードナーチャリングを実施することで、休眠顧客や潜在顧客を育成し、営業部門への引き渡しを促進します。
MAツールは、リードナーチャリングだけでなく、受注に至らなかった顧客の再活用や、既存顧客に対するアップセル・クロスセル施策を通じて収益向上を実現します。新規顧客獲得施策と並行して、既存顧客への施策を展開することで、新規顧客獲得に過度に依存しない安定的なリード創出が可能になります。
展示会で交換した大量の名刺や、問い合わせなどのアクションを起こしたものの成約に至らなかったリードが、そのまま放置されているケースは少なくありません。「見込みがない」と判断して放置された顧客の多くが、競合他社に流れているというデータからも、リードナーチャリングは中長期的な視点で着実に取り組むことが重要です。
MAツールを活用すれば、「Webサイトにアクセスして料金プランのページを閲覧した」「メールマガジンに記載されたURLをクリックした」といったリードの細かな行動を把握できるため、状況に応じた適切なアプローチをかけることができ、リードの取りこぼしを防ぐ効果が期待できます。
MAツールを導入することで、見込み顧客がウェブサイト内でどのような行動を取ったか、具体的にどのようなページを閲覧し、どのような経路でサイト内を移動したか、また、どのような資料をダウンロードしたかといった詳細な情報を把握することが可能になります。これにより、それぞれの見込み顧客の興味や関心の度合いに合わせて、最適化されたコンテンツを提供できるようになります。さらに、収集したデータに基づいて、ウェブ広告、メール、電話など、各見込み顧客にとって最も効果的なアプローチ方法を選択することができます。
MAツールを活用することで、見込み顧客が購入意欲の高い状態、いわゆるホットリードになったタイミングを逃さずに営業部門へ引き渡すことができます。これにより、成約の可能性が高い見込み顧客に的を絞ってアプローチできるため、受注率の向上に貢献し、業務効率化を実現します。また、見込み顧客が求めている情報を最適なタイミングで提供することで、顧客とのより良好な関係を築き、長期的な信頼関係を構築することが可能になります。
特定の優秀な営業担当者に依存した「属人的な営業組織」では、その担当者が退職した場合、営業成績が大きく低下するリスクがあります。営業組織全体のレベルアップを図るための研修などの教育も重要ですが、時間とコストがかかり、すぐに効果を期待することは難しいのが現状です。
MAツールを導入し、インサイドセールス部門が見込み顧客を育成し、ホットリードへと成長した段階で営業部門に引き継ぐことで、営業担当者の能力に左右されずに成約に結びつけやすくなります。経験の浅い新人や、営業スキルがまだ十分でない担当者でも、受注の可能性を高めることができるため、営業組織全体の受注率および案件化率の向上が期待できます。これにより、組織全体の営業力を底上げし、安定的な成果を上げることが可能になります。
非常に有用なMAツールですが、注意すべきデメリットも存在します。導入前に起こりうる問題を予測し、デメリットを最小限に抑えるための対策を講じることが重要です。
MAツールを用いたリードナーチャリングは、見込み顧客の検討段階に合わせて適切な情報を提供し、徐々に信頼関係を築き上げていくプロセスであるため、一定の期間が必要です。しかし、リードナーチャリング以外の目的でもMAツールは活用できるため、例えば、営業担当者がアプローチするためのリスト作成などに利用すれば、短期間でも効果を実感することができます。
MAツールを導入したからといって、すべてのマーケティング活動がすぐに自動化されるわけではありません。マーケティング担当者が、明確な運用ルールを定め、魅力的なコンテンツを作成し、効果的なシナリオを設計するなど、初期段階でしっかりと設定を行う必要があります。これらの準備があって初めて、MAツールの自動化機能が最大限に活かされるのです。
最初に、見込み客を獲得するための基盤を構築することが重要です。例えば、新規顧客を引きつけるために、有益な「ホワイトペーパーのダウンロード」を提供する設定を行うことや、既存の顧客リストを活用して潜在顧客を育成するために、どのタイミングでどのような情報提供やアクションを行うかという綿密な「シナリオ設計」などが挙げられます。
さらに、見込み客を育成する「ナーチャリング」の段階では、ターゲットに合わせたメールや特別なホワイトペーパーといったコンテンツが不可欠です。MAツールには便利なテンプレートが用意されていることが多いですが、オリジナルのコンテンツをゼロから作成する場合は、相応の時間と労力がかかります。導入初期段階では、一時的に業務量が増加することも考慮しておく必要があります。
MAツールによって搭載されている機能には多少の違いがありますが、一般的に共通する機能として以下のようなものがあります。MAツールの機能は多ければ多いほど良いというわけではありません。導入を検討する際には、自社のマーケティング目標を明確にし、その目標達成に必要な機能が備わっているMAツールを選択することが重要です。
リードジェネレーション戦略を通じて獲得したリード、つまり見込み客の個人情報(会社名、氏名、メールアドレス、電話番号など)を一元的に管理するための機能です。Webフォームを通じて登録されたリード情報を自動的に保存したり、リードのオンライン上での行動履歴と関連付けて保存することで、マーケティング施策や営業活動で活用できる質の高いリストを効率的に作成できます。
MAツールを使って作成したフォームを自社のウェブサイトに設置することで、フォームから送信されたリード情報をMAツール内のデータベースに自動的に蓄積できます。データベースにリード情報が蓄積されることで、そのデータに基づいた効果的なマーケティングや営業活動を展開することが可能になります。多くのMAツールでは、フォームの作成や修正を外部の専門業者に依頼することなく、担当者自身が簡単に行えるように設計されています。
見込み客に関する情報とCookieデータを連携させ、各見込み客がウェブサイト上でどのような行動を取っているかをデータとして把握できる機能です。これにより、ウェブサイトを訪問した見込み客のうち、誰が、いつ、どのページを閲覧したかといった情報を取得し、見込み客が現在何にどの程度関心を持っているかを推測するのに役立ちます。
さらに、推測された情報に基づいて、見込み客に直接営業をかけることも可能ですが、後述するシナリオ機能と組み合わせることで、より効果的に接点を持つことができます。例えば、製品やサービスの価格に関するページを閲覧した見込み客は、製品やサービスの購入意欲が高い可能性があると判断し、その見込み客に対して自動的に購入を促すメールを配信する設定を行うことができます。
登録された見込み客を、属性情報、ウェブサイト上の行動履歴、過去のマーケティング施策との関わりなどに基づいてグループ分けし、それぞれのグループに最適なメールを配信できる機能です。MAツールを使ってメールを配信する際には、一斉送信も可能ですが、メールマーケティングの対象が明確な場合は、可能な限りグループ分けを行った方が、施策の効果を高めることができます。
スコアリングとは、見込み客の属性や製品・サービスへの関心度合いに応じて「点数」を付与し、顧客の状態や検討段階を数値で可視化する機能です。一定の基準点に達した場合に、特定のコンテンツを自動的に配信する設定も可能です。
一見すると便利な機能ですが、スコアリングを行うには、売上に繋がる見込み客の「属性」と、その見込み客が「どのような行動をよく取るか」を、運用担当者が正確に把握している必要があります。そのため、MAツールの機能の中でも設定が難しいとされており、運用を検討する際には注意が必要です。アンケート調査では、「マーケティングオートメーションの運用で難しいと感じる機能は何か?」という質問に対し、「スコアリング」が最も難しい機能の一つとして挙げられています。
MAツールの中には、スコアリングの代替となる機能が搭載されているものもあります。高度な設計や設定を行わなくても、スコアリングと同様の効果を得られるため、初めてMAツールを導入する企業や、既に導入しているものの十分に活用できていない企業は、導入を検討する価値があるでしょう。
シナリオとは、見込み客が特定の行動を起こした際に、事前に設定しておいたアクション(コンテンツの自動配信など)を実行する流れを構築する機能です。前述の追跡機能で説明した「特定のウェブページを閲覧した見込み客」に対してアクションを実行する設定や、「特定の資料をダウンロードしたユーザーに、全〇回のメールを段階的に自動配信する」といった設定が可能です。
スコアリングと同様に、設定には見込み客の属性や行動を深く理解しておく必要があるため、取り組む際には注意が必要です。見込み客の属性やウェブサイト上の行動を詳細に分析し、検証を重ねた上で取り組むことをお勧めします。
国内および海外製のMAツールが数多く存在するため、自社のニーズに最適なツールを選択することが重要です。ここでは、導入後に「使いこなせない」「活用されなくなった」という事態を避けるための、MAツール選択プロセスについて解説します。
最初に、自社のマーケティングおよび営業活動における課題を洗い出し、MAツール導入によって解決したい問題を明確にしましょう。可能な限り詳細に課題を分析することで、MAツールに求める要素や機能が明確になります。
反対に、導入目標を定めずに多機能さや価格に惹かれてツールを選んでしまうと、最終的には自社にとって有用な機能がないMAツールを導入することになり、投資が無駄になる可能性があります。
企業の成長段階に応じて、最適なMAツールの種類は異なります。目標に基づいて選択すると同時に、自社のマーケティング部門の成熟度や規模に応じて、使いやすいMAツールを選びましょう。
MAツール導入時には、ベンダーとの連絡窓口となる担当者が必要です。さらに運用段階では、マーケティング部門だけでなく、インサイドセールス部門、営業部門、可能であればカスタマーサクセス部門が連携し、それらを統括する担当者も必要になります。具体的に、「スコアリング」や「シナリオ設計」はマーケティング部門が担当し、「ノウハウ」は営業部門が提供するなど、各部門の役割分担を明確にしておきましょう。
MAツールの運用に必要なリソースとして、例えば「顧客管理」「メールマーケティング」「検証・分析」ごとに担当者を明確にすることで、スムーズな運用が期待できます。ただし、企業の成長段階や規模によっては、担当者の割り当てが難しい場合もあります。逆に、複数の専任者を配置できる企業もあるでしょう。実現可能な運用体制に応じて、選択すべきMAツールも変わってきます。基本的に、人的リソースが限られている場合は、機能を絞り込んだシンプルなツールを選ぶことを推奨します。
MAツール導入・活用において、カスタマージャーニーマップの作成は非常に重要です。
カスタマージャーニーマップは、顧客が製品を認知してから購入するまでの流れを視覚化したものです。これを作成することで、最適なタイミングで顧客に適切なコンテンツを提供し、各接点で効果的なマーケティング施策を実行できます。客観的な視点からカスタマージャーニーマップを作成し、可視化することで、顧客の状況をより正確に把握できます。
ペルソナごとにカスタマージャーニーマップを作成しましょう。
カスタマージャーニーマップを作成後、それに沿ったコンテンツを準備します。「どの段階の顧客が、どんな情報を求めているか」に基づいて設計を行いましょう。
コンテンツの例として、自社サイトの記事・ブログ、メールマガジン、SNS投稿、動画コンテンツ、セミナー、カタログ、ホワイトペーパーなどがあります。機能比較資料や導入事例のダウンロードも人気です。コンテンツが多いほど効果的ですが、まずは各購買段階のユーザーに適した最低限のコンテンツを用意しましょう。
MAツールは導入したら終わりではありません。担当者がMAツールの機能を理解し、課題や目的に合わせて適切な施策を実行できるよう、繰り返し練習しましょう。
ある程度使いこなせるようになったら、社内メンバーにテスト配信を行います。機能の不具合や表示の問題がないか確認するだけでなく、顧客視点で「理解しやすいコンテンツか」「スムーズな導線か」など、コンテンツの改善にも役立てます。最初は少数の顧客に配信し、問題なければ全体に配信するなど、運用フローを確立していくのがおすすめです。
MAツールを運用して成果を出すには、定期的な分析・検証と改善を継続的に行うことが不可欠です。「期待する成果が出ない」原因として、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のPDCAサイクルが機能していないケースが見られます。
適切な目標設定に対して、達成度合いを評価し、未達成の場合は問題点を検証し、改善することで、確実に成果に繋がります。社内リソースが不足する場合は外部サポートも活用し、継続的にPDCAサイクルを回しましょう。データに基づいて分析し、「期待する効果が出ているか」を検証し、常に改善することでツールの精度が向上し、さらなる業務効率化に繋がるでしょう。
ここでは、マーケティングオートメーションの具体的な活用事例をいくつか紹介します。
近年、多くの企業が多様なMAツールを提供しており、「機能の違いが理解しにくい」「自社に最適なツールを選べない」といった声が多く聞かれます。
MAツールを比較検討する際、各製品の機能を詳細に比較する前に、MAツールにはどのような種類があるのか、大まかに把握しておくことが重要です。以下にMAツールのタイプを3つに分類し、ご紹介します。
ここでは、導入が容易なMAツールを2つご紹介します。
BowNowは、クラウドサーカス株式会社が提供する国産MAツールで、14,000社を超える企業で導入されており、国内トップクラスのシェアを誇ります。※その特徴は、直感的な操作性と手厚いサポート体制にあり、特に中小企業やマーケティングの専門知識や人員が不足している企業、これからマーケティングに取り組む企業に適しています。
BowNowは、マーケティング担当者だけでなく営業担当者を含む「チーム全体で活用できるMAツール」として開発されています。基本的なMA機能に加え、「リードの自動登録機能」や、14,000社の成功事例を基にした「ABMテンプレート機能」など、マーケティングや営業の現場で発生する課題を解決するための独自の機能が豊富に搭載されています。また、無料プランから利用できる柔軟な料金体系も魅力で、予算が限られた企業でも導入を検討しやすいでしょう。
List Finderは、株式会社Innovation X Solutionsが提供する国産MAツールで、現在1,800以上のアカウントが発行されています。
基本的なMA機能に加え、名刺データ入力代行サービス(有料)を提供しており、大量の名刺情報を手作業で入力する手間を省くことができます。BtoB企業にとって必要不可欠な機能とサービスに特化して開発・提供されている点が特徴です。
ここでは、特にシナリオ設計に重点を置いたMAツールを2つピックアップしてご紹介します。
SATORIは、業種やビジネスモデル(BtoB、BtoC)を問わず、多岐にわたる企業で利用されているMAツールです。1500社を超える導入実績があり、匿名顧客の追跡に強みを発揮します。特に、フォーム入力前の潜在顧客に対してもアプローチできる点が大きな特徴です。
スコアリング機能やシナリオ機能も充実しており、見込み顧客の属性や行動に応じてメールマガジンの内容を最適化したり、Webサイト上でのポップアップ表示を出し分けたりすることができます。これにより、リード獲得から育成まで、一貫したマーケティング活動を支援します。
b→dashは、1000社以上の企業で採用されているデータマーケティングプラットフォームです。プログラミングの知識がなくても、直感的な操作で顧客データを活用できる点が特徴です。MA(マーケティングオートメーション)機能も搭載されており、データ統合からシナリオ構築、そして配信まで、一連のプロセスを一元的に管理し、高度なマーケティング戦略を実行できます。
データのクレンジングや統合管理機能によって、CRMやPOSシステムなど、外部の様々なデータソースとの連携を容易にし、より精度の高いターゲティングを可能にします。さらに、レポート機能を通じてマーケティング施策の効果を可視化し、PDCAサイクルを効率的に回せる点も魅力です。
ここでは、豊富な機能とCRMとの連携に強みを持つMAツールを3つご紹介します。
大企業向けの高度な機能が充実しており、複雑なマーケティングプロセスを自動化できます。Adobeに買収され、Adobe Experience Cloudとの連携も強化されています。
Account Engagement(旧Pardot)は、顧客関係管理(CRM)で広く知られるSalesforce社が提供する、BtoB企業向けのマーケティングオートメーション(MA)ツールです。最大の特長は、Salesforce CRMとのシームレスな連携により、マーケティング活動によって獲得したリードが、その後の営業活動にどれほど貢献しているか(リードから発生した商談や受注)といった、顧客管理と連動したリードの行動をリアルタイムで把握できる点です。
シナリオに基づいた自動化機能や、詳細なレポート機能、キャンペーン管理機能も充実しており、多様なチャネルを横断した施策を統合的に管理できます。見込み客の情報を一元的に管理し、自動化とデータ分析を通して、BtoB企業の収益向上を力強くサポートするツールと言えるでしょう。
Hub Spot社が提供するHubSpotは、世界135ヶ国以上で216,000社を超える企業に導入されている実績があります。マーケティング、営業、カスタマーサービス、コンテンツ管理など、ビジネスの成長を支援する様々なツールが統合されたプラットフォームです。
MA機能は「Marketing Hub」というツールで利用でき、メールマーケティング(パーソナライズされた配信やA/Bテスト)、ワークフローの自動化(条件に応じたアクションの設定)、リードスコアリング(顧客の関心度合いを評価)、ランディングページの作成(コーディング不要)など、幅広い機能が搭載されています。特にインバウンドマーケティングに強く、広告管理や魅力的なコンテンツ作成をサポートする機能が豊富に備わっているのが強みです。
MAツールを初めて導入する場合や、社内に専門知識を持つ担当者が少ない場合は、サポート体制がないと導入がうまくいかない可能性があります。例えば、「MAツールの初期設定」だけでなく、「運用体制の構築方法」、「カスタマージャーニーの設計」、「ツールの効果的な使い方」など、あらゆる側面から支援してくれる企業を選ぶことが重要です。
また、予算の都合などで長期的なコンサルティングが難しい場合でも、導入直後から運用開始後の短期間だけでもコンサルティングサービスを受けることで、多くの問題を未然に防ぎ、高い費用対効果を得られる可能性があります。ユーザー会やユーザーコミュニティが活発な企業であれば、自社と類似した業界の担当者がどのようにツールを活用しているかを学び、課題解決のヒントを見つけることができるかもしれません。
MAツールは、潜在顧客を「獲得」し「育成」するプロセスをサポートし、主にマーケティング部門で活用されます。顧客に関する情報を管理するという点で、MAツールと類似するツールとして、「SFA」や「CRM」が存在します。
それぞれのツールがどのような目的で使用されるのか、混同してしまうこともあるかもしれません。ここでは、MAツールとCRM・SFAの関連性について分かりやすく解説します。
MAツール、SFA、CRMといったツールは、マーケティングから営業、顧客管理へと、段階的に活用されます。
MAツールは、マーケティング活動における施策を自動化し、効率化することに特化しており、見込み客の獲得から商談機会を創出するまでのプロセスで使用されるため、導入の最初の段階で利用されるツールと言えます。
次の段階で使用されるSFA(セールスフォースオートメーション)は、営業部門における「営業活動」を支援するツールです。MAツールによって育成され、購買意欲が高まった見込み顧客は、営業部門へと引き渡されます。MAツールを通じて関心が高まった見込み顧客に対して営業担当者が行うアプローチを「SFA」に記録することで、進捗状況を適切に管理し、成約へと繋げる役割を担います。
最終段階で、成約後の顧客との関係構築に用いられるのがCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)です。これは、「既存顧客との関係強化」を目的としたツールです。MAツールも顧客管理機能を有していますが、マーケティング活動全体の「効率化」に重点を置いているのに対し、CRMは「顧客データの蓄積・管理」に特化しており、顧客離れを防ぎ、リピーターを増やす効果が期待できます。顧客データは、類似企業へのアプローチ戦略を強化する上でも有益な情報となるため、様々な部門がそれぞれの目的に応じて活用できます。
いかがだったでしょうか。MAツールはよりAIによって、簡単なUIで高度なことができるようになっていくと想定されます。今のうちに、概念を理解してAIによってよりマーケティング活動をスピードアップしていきましょう。
SFA(エスエフエー)とは、Sales Force Automationの略であり、営業活動を可視化し、効率を高めるためのツールです。
顧客情報に基づいた営業活動の全体像をデータベース化することで、営業担当者の行動を管理し、商談成立率や予測精度を向上させる役割を果たします。
見込み顧客に関する情報(企業名や役職などの属性)と紐付けて、過去に行ったアプローチの内容、顧客からの反応、次に予定されているアクションといった、営業活動に関する様々なデータ(活動履歴やスケジュールなど)を蓄積・分析することができます。